脇の下?舌?正しい体温の測り方は

風邪をひいたかな?――そう感じたら、なにはともあれ体温計を脇の下にはさみ、熱を測るのが一般的な行動だろう。
体温計の進歩はめざましく、筆者が子どもの頃には水銀が目盛りを駆け上がっていくアナログタイプが主流だったが、現在はデジタル表示の電子体温計が普及し、なかには脇の下ではなく、耳の穴や口のなかや肛門で測るタイプの体温計まである。
そこで気になるのが、「体温の測り方」。はたして、体温はどの部位で測るのが正解なのだろう? 新宿ライフクリニックの須田隆興先生に聞いてみた。
「厳密にいえば、脇の下でもお尻の穴でも、正確な体温を測るという意味では、どれも不十分といわざるを得ません。そもそも体温とは、環境の温度に左右されない体の内部の“核心温度”のこと。ただ、それを家庭で手軽に測定するのはまず不可能です。家庭用の体温計は、あくまで体温の変化を簡易的に知るための道具ですから」
僕らが注目してきた体温計の数字は、あくまで目安に過ぎない。人によって平熱も違えば、測る部位によって温度も変わるので、熱が37℃以上あれば不健康だというものでもないのだ。
「脇の下や口腔内、あるいは直腸内など、体温の計測に使われる部位は様々ですが、そのなかでも一番手軽に測定できるため、脇の下で測る方法が最も普及したのでしょう。なお、部位によって測定できる体温にはズレがあり、一般的に口腔内(舌の下の部分)の体温は脇の下より約0.2℃高く、直腸内の体温は脇の下より0.8~0.9℃ほど高いとされています」
余談だが、耳の穴に突っ込むタイプの体温計は、発熱時に鼓膜から放射される赤外線を感知して体温を数値化するもので、他の体温計とは仕組みが異なるそうだ。
結局のところ、体温測定の目的は体調を管理すること。平常時との体温変化がわかればいいので、毎回同じ部位で測ってさえいれば、どこでも構わないのだ。