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上司に萎縮「ビビリ症部下」 対策

怒られているわけじゃないのに、なぜか上司や先輩の前だと萎縮して、自分の意見が口に出せない…。そんな部下や後輩は周囲にいないだろうか? こちらが怒ってもいないのに萎縮されては、仕事もなかなか頼みにくい。そんな“ビビり症”の部下とうまく接するには、どうすればいいのだろうか。『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』などの著書がある小倉広さんに教えてもらった。

「一概には言えませんが、そんな部下がいる場合、上司の接し方が生来持っている部下の”ビビり症”を悪化させているかもしれませんね」

しかし、勝手に萎縮されているだけなのだが…。

「おそらく引き金になっているのは、ミスをした時の声かけです。『悪い』のはミスという『行為』であって、その人自身の「人格」ではないのに、それをごちゃ混ぜで叱るから”ビビり症”が悪化するのです。『いつもお前は』『だからダメなんだ』と知らず知らずのうちに『人格』を否定するような言葉を投げかけてはいないでしょうか? “行為”と“行為者(人格)”を切り離して声をかけること。これをわかっていない人が多すぎます。そしてこれが日常的に繰り返されているから、“話しかけられると、あたかも人格を否定される”と感じ、ビビって萎縮してしまうんです」

確かに、説教の流れでついつい「わかってない『ヤツ』だな」といった「人格」にかかわる発言をしてしまうことは少なくない。これが、部下を萎縮させることにつながっているわけだ。

「ミスを注意するならミスのことだけを言えば充分。そして、注意をした後にくだらないバカ話をしたり、食事に誘ったりすることも効果的。“『行為』に対しては問題を感じているけれど、『人格』に対する評価はこれまでとなんら変わりはない”と感じさせることが大切なのです。ただ、食事に誘ってくどくど説教したら逆効果なので注意しましょう」

小倉さんは、「部下に下手に気を使って腫れ物に触るように接するのは、何の解決にもならないので絶対NGです」とも。ミスという「行為」に対しては毅然と注意をし、それとは別に「行為者(人格)」に対してはフランクに接し続ける。このように「行為」と「行為者(人格)」を切り離し続ければ、ビビらずに話を聞くようになるのだとか。

とはいえ、部下や後輩にそこまで気を使うことに疑問を持つ人もいるかもしれない。

「別に気を使っているわけじゃありません。多くの人はこの指摘の方法を知らないだけなのです。仕事の話でわざわざ人格に踏み込むことの方がおかしいんです。上司や先輩はただの役割。人としては対等ですから」

確かに上司や先輩とはいっても、単に仕事上の役割や経験値による上下関係でしかない。ミスの指摘は“叱責”ではなく“再発防止”が目的――そう心がけ、部下といい関係を築きたいものだ。

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